「ハッカーと画家」を読んだ

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

概要 大成功ベンチャーの創業者にして天才プログラマの著者が語る、これからの時代を見通す考え方と創造のセンス

TL;DL


  • 他者と異なる思考がハッカーハッカー足らしめている
  • サービスは使うユーザーを考えたデザインが大事
  • ベンチャーとして生き残りたいのであれば大企業とは異なる事をやらないといけない

ハッカーの価値とは


ハッカーは子供の頃からハッカーである。ここでいうハッカーの定義はプログラミングに限った話ではない。 物事に対する考え方が他と異なる、常識を疑い日常をハックするものも含まれる。スクールでの低位カーストに含まれるオタクたちもそれである。 学校という特殊な環境の中では異端はすぐつまはじきにされる。理解もされない。 だが学校という枠から外れるとハッカーはすごく力を持つことになる。それがまるで後世に名を残した画家のようである。

他人と違う見方をしてしまう天の邪鬼のようなハッカーの価値は広い世界で力を持つ。 現在の主流が正しいとは限らない。 プログラミングをするときに選択する言語一つとってもあてはまる。課題に対しては最適なプログラミング言語を選ぶべきである。

狭い世界で生きるな。常識を疑う事、他者と異なる事に誇りを持つことがハッカーハッカーたらしめている。 広い世界で生きた時、ハッカーはその能力を持って世界を変えていける力を持つ

お金によって見えにくくなってしまった富


富とは人それぞれによってことなる。現在流通しているお金がまるで富の代表のように認識されてしまっているがそれは間違いである。 お金は富との交換手段である。お金には限度があるが富は作り出すことができる。 もし裕福になりたいと思うなら測定と梃子が必要である。 企業の中で多数に埋もれるような仕事は測定できない。自分がやった仕事を測定できるような仕事に就くべきである。 ハッカーにとって梃子とは技術である。技術を作り出すことで富をも作り出してきた。 お金を儲ける事を目的にしてはいけない。お金は限られたパイであるが富は創り出せるのだから。

デザインはユーザーのためにある


どんなプロダクトもユーザーは課題を持っている。ユーザーの課題を解決できるのはデザインである。 デザインはユーザーの為にあるべきだし、人間であることを理解して寄り添う事が大事である。 プロダクトを創っている立場からもとても共感できる。

良いデザインがユーザーの必要としているものを作るんだとして、 ではユーザーとは誰だろう。私はデザインはユーザーのためのものだと言ったが、 ユーザーの最小公倍数みたいなものを目指すのが良いデザインだというつもりはない。 どんなふうにでもいいから、あるユーザーの集合を決めるんだ。 例えば道具をデザインしてい るなら、初心者向けにデザインしてもいいし、 熟練者向けでもいい。ただ、あるグループ向けの良いデザインは、 別のグループ向けとしては良くないかも知れない。 大事なことは特定のグループのユーザーを対象とすることだ。 対象とするユーザーを特定しないことには、 デザインの良否さえ議論できないんじゃないかと思う。

プロダクトに限らず何かを作るとき、それがどのユーザーに向けて作るかで課題も解決方法も変わってくる。徹底したユーザー分析が必要である。

まとめ


基本的に客観的なデータ等はなく筆者の経験や主観からなるエッセー集である。 特に著者のLISP愛に対する愛が深く、ハッカーの姿勢が垣間見える。 内容を抽象化することで本書の大事な部分は普遍的なものになる。 他者と異なる考え方を持つこと、デザインをユーザーファーストで考えること。 プロダクトを作る際は適切な言語で創ること。プロダクトは富を創り出すものであること。 本書の内容をそのまま受け取ることは難しいが参考にするべき考え方は確かにあった。

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

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